学術会議公開シンポ@東大 2010 6 13

GCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」女性の貧困 **************
フェミニズムが追い風を受けているかのように見えた1980年代以降、現実には「女性の非正規」という慣行が定着し、ジェンダーは固定したままです。それどころか、男性にも及ぶ非正規化が進行する現在、男女の格差はいっそう広がっています。
なぜこんなことになってしまったのか―日本のフェミニズムが真剣に問い、回答を出さねばならない問いです。
日本学術会議ジェンダー研究分科会では、3月にCEDAWの勧告を受けて日本のジェンダー平等の状況を検討するシンポジウムを開きましたが、そのときに「雇用と政策」に議論が収斂したのを受けて、その問題に焦点を当てる下記のようなシンポジウムを企画しました。
ラウンドテーブルには「連合」の山口洋子副事務局長、フリーターズフリー栗田隆子さんが参加されます。世代の違い、立場の違いを越えて、直面しているこの問題について徹底討論する機会にしたいと思います。フロアからのご発言もいただきますので、ぜひ多くの方、さまざまな立場の方のご参加をお願いします。
ジェンダーの構造を変えなくては、日本は沈み続けるだけだということを、ジェンダーに関心の無い方にもぜひ認識してもらいたいと思います。
  企画担当:落合恵美子・岡野八代


日本学術会議社会学委員会ジェンダー研究分科会シンポジウム
ジェンダーから展望する新しい社会のしくみ:女性の貧困・雇用・年金」

深刻化する貧困と失業、年金など社会保障制度への不信など、現在の日本社会が機能不全に陥っているのは誰の目にも明らかです。しかし、明快な原因解明も、信頼できる代替案の提案もなされず、「新しい社会のしくみ」はなかなか見えてきません。
本シンポジウムでは、女性の貧困・雇用・年金に深刻な形で表れているこの社会の問題点の検討を通じて、「失われた20年」に終止符を打ち、日本を再生させるためには、ジェンダー役割を組み替える新たな社会の枠組み作りが不可欠だということを、学術的な根拠をもって主張していきます。近代の変容についてのマクロな歴史的展望と、ヨーロッパとアジアの諸社会の経験に学ぶグローバルな視野をもった冷静な分析から、現実的な政策転換の方向性の提案につなげていきます。
ラウンドテーブルでは、雇用問題に直面する若い世代や労働組合等の方々と研究者との対話の機会を設けて、より具体的な問題や政策を論じます。

場所: 東京大学文学部1大教室 (地下鉄東大前、本郷三丁目駅より徒歩 正門から安田講堂に向かって右手)
日時: 2010年6月13日(日) 13〜17時 
     全体司会:岡野八代(同志社大学教授・日本学術会議連携会員)
13:00-13:10 開会挨拶:岡野八代(同志社大学教授・日本学術会議連携会員)
13:10-13:40 ビデオ「女性の貧困」上映(土佐尚子監督+阿部彩・岩井八郎・落合恵美子)
13:40-13:50 企画の趣旨: 落合恵美子(京都大学教授・日本学術会議会員)
13:50-14:30雇用への展望:大沢真知子日本女子大学教授)
「日本型ワーキングプアの本質」
14:30-15:10 政策への展望:大沢真理東京大学教授・日本学術会議会員)
「再分配が深める貧困大国ニッポン」
15:10-15:30 休憩
15:30-16:50 ラウンドテーブル  司会:落合恵美子
         山口洋子(連合副事務局長・女性代表)
         栗田隆子フリーターズフリー組合員)他
16:50-17:00 閉会挨拶:  江原由美子首都大学東京教授・日本学術会議会員)